2007年5月3日木曜日

特待制度は悪くない~高校野球問題の前時代性~

 大きなニュースになっているので、一言。高校野球で、全国で376校の高校が、日本学生野球憲章に違反した野球特待生を設けていたとのことです。
 違反したといわれるのは、日本学生野球憲章の第13条第1項、

第十三条 選手又は部員は、いかなる名義によるものであっても、他から選手又は部員であることを理由として支給され又は貸与されるものと認められる学費、生活費その他の金品を受けることができない。(以下略)

という部分。

 小生の意見は、特待制度を止めるのは愚策で、むしろ、多くの分野に広げるべきというものです。(勿論、プロ野球が学生にお金を出しに行くのは、問題ですが、高校が特待で募集することに問題は無いという立場です。)

(1)とびぬけた才能やセンスを小さいうちに見出し
(2)それを大事に育て延ばしてゆく
というシステムは、スポーツや棋士だけでなく、芸術や文化などあらゆる場面に必要だと思います。

 私がこうした高校の責任者なら「選手又は部員であることを理由として」に該当しないようにする、つまり、野球部に入ったり選手になることを一切条件とせずに、
  「キミの素質は、将来大リーグに匹敵する素晴らしいものだから」
という理由
で、特待制度を適用します。
 事実、こうした特待で育成されてきた方々が中心となって、WBCで世界一になったわけで、杓子定規にことを進めれば、「いつもどおりの横並びで、きわだった能力を伸ばせない国」に逆戻りです。

 出身県以外からお誘いが来て野球留学するのが過剰だと言われますが、本来、今、地方や企業が必要なはずなのは、有為な人材です。各地や各企業が競争して人材確保に走って当然です。なのに、それをせずに「地域が寂しくなったので、何とかしてほしい。」ばかりを言っている気がします(小生の田舎も、その典型例です。)。そんな中で、ただひとり地方の高校が野球という人材確保に走っているのがおかしいというのは、本末転倒だと思います。また、プロ野球に入るまで成長した選手が「高校時代3年間は、○○県でお世話になりました」と語るのを、むしろ地元の人は楽しみにしています。

 多少力を込めて、受験ブログでこれを書いたのは、「むしろ、数学・理工系分野でも特待生を作り、大学側から積極的にスカウトに走るべき」と常々思ってきたからです。高校時代、「こいつ、何でこんなに、数学でひらめくんだろう。もしかしたら、世界レベルで通用するかも」と思った同級生が2~3人いましたが、例外なく、

  数学ができる人は、東大理Ⅲ(京大医、慶応医)

の公式にすっぽりはまり、今や、勤務医として順調に活躍されています。

 医学界の人材確保には良かったのでしょうが、金融工学で新しい公式を考え出したり、日本版ビルゲイツが育ったりする芽を、こういう受験思考が摘んでいると危惧しています。適正な特待制度やそうした発想が、歪んだ志望動向や偏った人材配分を是正すると思います。スポーツ、芸術、文化、理数系など、才能を見出せる分野については、特待制度で人材を確保して、責任をもって大きく育成するという発想でないと、国の将来は危ういと感じています。   以上、長くなりました。

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