大人なら、洋子さんと父のただならぬ関係にピンと来ます。問題文に引用されているところよりも後ろに、大人になった私と弟が「そうとうに惚れてたんだな、あの人」「そうだね」(文庫版P77)と会話し、洋子さんは「母の平手打ちにも怯まない強さ」をもって「他人を不幸に巻き込んでしまうような恋」(いずれもP78)をしたとされていますが、問題文だけでもおおよその見当はつきます。
ただ、問題は、12歳の子供がこの複雑な状況をどこまでわかるのか、そして12歳の子供がどこまで読み取ったり察知したりすることを学校側が求めているのだろうか、という点です。
問6「『洋子さん』は、どのような人物としてえががれていますか。本文全体をふまえ、その性格も含めて70字以内で説明しなさい。」の答えは、小学生バージョンでは、例えば
父の知人で、「私」に友だちのように接してくれる親しみやすくさっぱりした面があるが、サドルを盗んだりむちゃくちゃに物を買う型やぶりな人物。
ぐらいでしょうが、
初対面でもうちとける、明るくさばさばした性格の一方で、半ば母を追い出し、およそ秩序にとらわれず本能のままに力強く行動する我の強い人物。
などと書かなければならないのかどうか、大いに気になりました。
その昔、テレビ版の「欽ドン」で、
「お父さん大変だ、○○君が、お酒飲んでる!」
「きっと、幼稚園で、辛いことがあったんだろう」(バカ受け)
というのがあったように記憶しています。万が一、ませた子供、低年齢で大人並みの感性を持つ子供、促成栽培の子供ばかりが選抜されることになっては、こうしたギャグではすまされません。
もし、この問題文を読んだ愚息が、「よくある話さ」とか「大人は、いろいろあるんだねぇ」などという感想を漏らしたとしたら、そのほうが絶望的な気がしただろうと思います。(皆さんも、そう思われませんか?)
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2007年4月23日月曜日
国語の入試問題から(その2)
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